ヒドロキシラジカルを消去する水素分子

ヒドロキシラジカルを消去する水素分子(H2

 

水素(原子番号1、元素記号H)は、物質を構成する元素としては宇宙で最も量が多いのですが、地球の大気中には1ppm以下の微量しか存在しません。水素分子(H2)は最も軽く、常温では無色無臭の気体で、非常に燃えやすい特徴を持っています。水素は大気中で5%以上になると空気中の酸素と反応して爆発します。酸素と激しく反応するということは、酸化性物質と非常に高い反応性(抗酸化作用)を持つことを意味します。
水素は私たちの体内でも発生しています。すなわち、食品中の非消化性食物繊維を大腸内の腸内細菌が発酵する過程で水素が発生しています。また、水素含有ガスの吸入は潜函病の治療に使用され、人体に極めて安全性が高いことも証明されています。(潜函病はダイバーなどの高気圧環境下にいた人が水面に上がること によって急激な減圧により生体内に生じた窒素気泡によって起こる病気です)

太田成男・日本医大教授(細胞生物学)らは2007年に、水素含有ガスが、体に最も有害な活性酸素であるヒドロキシラジカルを 効率よく除去し、脳虚血後の障害を軽減できることを報告しました(Nature Medicine 13: 688-94, 2007)。すなわち、脳の血液の流れを一時的に止め、活性酸素を大量に発生させたラット(虚血再灌流モデル)に1~4%の水素を含んだガスを吸わせる と、脳のダメージが軽減することを明らかにしました。
この研究では、水素は活性酸素のうち細胞障害作用の最も強い活性酸素(ヒドロキシラジカル)のみを消去し、細胞機能にも関与しているスーパーオキシドや過酸化水素は消去しないことが示されています。また、水素は分子量が非常に小さいため、生体膜を容易に拡散し種々の細胞内小器官に浸透しうる(血液脳関門も容易に通過する)ので、活性酸素による酸化障害の治療法として理想的な特徴を持っています。(下図)

 

パーキンソン病モデルラットを用いた実験でパーキンソン病の発症や進行の抑制効果や、臓器移植後の臓器障害の軽減効果、急性肺障害の軽減効果など、酸化ストレスが関係する病態の治療剤としての有効性が報告されています。
マウスを使った実験で、水素ガスの吸入や水素含有水の飲用によって、抗がん剤のシスプラチンの抗がん作用は弱めずに副作用の腎臓障害や体重減少を軽減できることが報告されています。
放射線やエックス線は、そのエネルギーが水に吸収される結果、水が分解されてヒドロキシラジカルを発生させ、このヒドロキシラジカルが細胞をがん化させる原因になっています。したがって、放射線検査(CT検査など)や福島原発事故による放射線被曝の健康被害の予防にも水素ガス吸入は有効です
酸化ストレスを軽減するので、様々な老化性疾患の予防や美容にも有効です

 

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