<iPS細胞>パーキンソン病臨床へ 京大が手法確立

 京都大iPS細胞研究所の高橋淳教授(神経再生医学)らの研究グループは6日、ヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使ったパーキンソン病治療の臨床 研究に向けた手法を確立したと発表した。移植に必要な細胞の大量培養や、がん化の危険性のある細胞の除去などの課題をクリアし、ラットでの実験で効果を確 認した。研究グループは、2015年初めにもヒトでの安全性を確認する審査を申請し、厚生労働省の承認を経て患者への16年の移植を目指す。論文は7日付 の米科学誌「ステム・セル・リポーツ」に掲載される。

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  パーキンソン病は神経伝達物質「ドーパミン」を出すドーパミン神経細胞が減ることで、手足が震えたり、こわ張ったりする難病。投薬で症状を抑えられるが、 根本治療にはならない。神経細胞の一歩手前の「神経前駆細胞」を脳内に移植し、新たな神経回路を作る治療法が期待されている。

 研究グループによると、iPS細胞から神経前駆細胞に分化させる際、培養皿の底に敷く基質に特定の人工たんぱく質(ラミニン)を使うと、従来の20倍以上の量が培養できることを発見した。

 一方、培養した細胞の中に分化が不十分なiPS細胞が残っていると、がん化する恐れがある。グループは、特定の蛍光抗体を使って染色する方法で、培養し た細胞から神経前駆細胞を選別し、未分化など不要な細胞を除去する手法を確立した。選別後の神経前駆細胞を、パーキンソン病を発症させたラットの脳に移植 し、4カ月間観察したところ、症状が改善し、がん化も起きないことを確認した。

 高橋教授は「今年中に同じ手法でサルに移植して、安全性と有効性を詳細に検証する」と話している。グループは今後、京大病院と連携。6人の患者の血液細 胞からiPS細胞を作製し、1人ずつ数千万個の神経前駆細胞に分化させて患者本人に移植する臨床研究に向けた準備を進める。

 実施については、京大が安全性審査のため設置予定の第三者委員会「特定認定再生医療等委員会」の了承を得た後、厚生労働省に申請する。効果や安全性に問 題がある治療への懸念から、今年11月に施行される予定の再生医療安全性確保法は、再生医療を行う医療機関に、事前審査や国への実施計画提出を義務付け た。【堀智行】

 【ことば】パーキンソン病

 手足の震えや筋肉のこわ張りなどの症状が出る進行性の神経難病で、主に50代以降に発症し、国内の患者は約14万人とされる。患者の脳内で神経伝達物質 のドーパミンを作る神経細胞が減少することが原因として知られているが、メカニズムは不明。薬で症状を改善できても、神経細胞の減少は食い止められない。 タレントの永六輔さん、米俳優のマイケル・J・フォックスさんらも患者。京都大グループはiPS細胞を使った移植医療で、不足した細胞を補う治療法の開発 に取り組んでいる。

 ◇解説 着実に実用化 コストに課題

 難病のパーキンソン病治療で、京都大iPS細胞研究所が確立した臨床研究への手法。iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った細胞や組織を患者に移植す る再生医療の実用化は、目の難病「加齢黄斑変性」の治療が先行し、今夏にも臨床研究として最初の移植が行われる。今回の成果は、パーキンソン病治療もこれ に続き、着実に実用化に近づいていることを意味する。

 大学での研究成果を実際の医療に役立てるには、安全性や有効性などの面で多くの課題を乗り越える必要がある。iPS細胞は大量に増やせる半面、目的の細 胞になりきれていない細胞が移植細胞に混入するとがん化する恐れがある。同研究所などの研究グループが今回、神経前駆細胞を選別する方法を開発し、がん化 リスクの克服はめどがついた。

 一方、コストも重要な要素だ。iPS細胞を患者自身の細胞から作ると、多額の費用と時間がかかる。このため同研究所は、拒絶反応を起こしにくい免疫型の iPS細胞をストックする計画を進めている。パーキンソン病の患者が幅広くiPS治療を受けられるようになるには、臨床研究の成功やコスト面での改良など の課題がある。

【根本毅】

 

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