日本に迫る“熱帯ウイルスの恐怖” 西ナイル熱、マラリア、黄熱

首都圏で約70年ぶりにデング熱の国内感染者が出た。東京都は急きょ、ウイルスを媒介した蚊が生息するとみられる代々木公園の駆除を行ったが、驚きなのは 本来、熱帯地方でみられる感染症が都心のド真ん中で発生したことだ。専門家は、地球温暖化による環境の変化を指摘。日本ではみられなかったさらなる熱帯由 来の感染症の流行を警戒する。西ナイル熱に空港マラリア、そして黄熱。迫りくる“熱帯ウイルス”の恐怖とは-。

 埼玉の10代の女性のほかに、新たに20代の都内の男性と埼玉の女性がデング熱を発症、国内感染者はこれで3人になった。感染の“震源地”は代々木公園とみられ、東京医大の浜田篤郎教授は「今後も散発的に感染者が出るかもしれない」と話す。

 感染しても半数は発症せず、重症化するのも発症者の約1%というから、深刻に捉える必要はなさそうだが、なぜ熱帯や亜熱帯でみられるデング熱が都内で発生したのか、そこが問題だ。

 環境省関係者は「地球温暖化で平均気温が上昇していることが関係している恐れがある。今年は全国で集中豪雨が頻発し、例年よりも雨量が増えている。こう した環境変化によって、蚊などのウイルスを媒介する動物が増加し、感染症にかかりやすい要因が増えたものと考えられる」と推測する。

 世界保健機関(WHO)も、異常気象をもたらすエルニーニョ現象が起きると、雨量が増すなどして感染症の増加につながると指摘。南米で1990年までみられなかったコレラの集団発生が、エルニーニョによって海水温が上昇した年に起きたという報告もある。

 今回、国内感染が確認されたデング熱を媒介するヒトスジシマカは、かつては関東地方が北限だったが、最近は盛岡市まで北上したことが確認されている。日本の気候の変化が“熱帯ウイルス”を媒介する蚊の分布に影響を及ぼしている可能性は高い。

 専門家は今後、デング熱だけでは済まない恐れを予測。その1つが、アフリカ・ウガンダの西ナイル地方で最初に見つかり、99年に米ニューヨーク市周辺で大流行した西ナイル熱だ。

 害虫防除技術研究所代表で医学博士(衛生動物学)の白井良和氏は「北米やアフリカ、欧州から中央アジアに広く分布している。日本にも生息するアカイエカ やヒトスジシマカがウイルスを媒介する。感染した渡り鳥が広域に飛来することが流行と関係しているといわれており、ひと度、ウイルスが入り込めば、感染が 広がる危険性がある」と話す。

 かつて日本でも流行し、50年代以降は国内での発生例がないマラリアにも注意が必要だ。

 白井氏は「日本で過去に何度も流行し、マラリアの熱病で平清盛も死んだといわれている。流行地域から出発する飛行機の中に入り込んだ蚊から感染が広がる『空港マラリア』の危険はある」と指摘し、こう続ける。

 「今後さらに平均気温が上昇すると、ネッタイシマカが発生する環境もさらにできてくる。この蚊は、デング熱のほかに野口英世の命を奪った黄熱を媒介する。死亡率30~50%に及ぶ黄熱病を引き起こす恐ろしいウイルスだ」

 デング熱は、他の凶暴なウイルスがはやる予兆なのか。

 

 

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