<IPCC報告書>温暖化、30年で許容上限 迅速対応迫る

国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は2日、地球温暖化を巡る最新の研究成果をまとめた第5次統合報告書を公表した。今のペースで 温室効果ガス排出が続けば、今世紀末には人々の健康や生態系に「深刻で広範囲にわたる後戻りできない影響が出る恐れ」が高まり、被害を軽減する適応策にも 限界が生じると予測。その上で、気温上昇を抑えるために「多様な道筋がある」として、各国政府に迅速な実行を迫った。

 報告書は、温暖化の主な原因が人為である可能性が「極めて高い」(95%以上)と断定。産業革命(18〜19世紀)後の気温上昇を「2度未満」に抑える国際目標の達成には二酸化炭素(CO2)の総排出量を約2兆9000億トンにとどめる必要があると分析した。

 しかし、既に排出されたCO2は約1兆9000億トンで、余地は約1兆トン。2011年の世界の排出量約350億トンのペースが続けば、30年足らずで許容量の上限に達してしまう計算だ。

 2度目標達成には、世界全体の温室効果ガス排出量を50年に10年比で41〜72%、2100年には78〜118%削減する必要があると指摘。排 出量を大きく左右する発電部門で省エネや再生可能エネルギーの導入を促進し、将来的にはCO2を回収・貯留する技術を大規模に普及させることが有効だとし た。

 一方、有効な対策を取らない場合、今世紀末の世界の平均気温は2.6〜4.8度上昇。海面は最大82センチ上がる。2度以上の上昇で穀物生産に悪 影響が表れ、4度以上で食糧安全保障に大きなリスクが生じるとした。さらに、アジアで暑熱による死亡率が非常に高まるなど、「温暖化の規模や速度が大きい ほど、人が適応できる限界を超える可能性が増す」と警告した。

 第5次統合報告書は、昨年9月〜今年4月に順次公表された三つの作業部会の報告書をまとめたもので、第4次以来7年ぶりに公表された。新たな温暖 化対策の国際枠組みの合意を目指す国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)を来年末に控え、交渉に大きな影響を与えそうだ。

 デンマークで記者会見した国連の潘基文(バン・キムン)事務総長は「科学者は、世界各国がすぐに行動を起こさなければならないと声を上げた。我々は手段を持っている。この機会を逃してはならない」と呼びかけた。【阿部周一、渡辺諒】

 【ことば】気候変動に関する政府間パネル(IPCC)

 地球温暖化の影響や被害の軽減策について、最新の科学的知見をまとめた統合報告書を、90年以降約5年おきに公表してきた。第5次は世界の800 人を超す研究者らが約3万本の論文を基に執筆した。政策決定者向けに要点をまとめた「要約」は、総会に参加した全ての国の承認を経て公表され、温暖化の国 際交渉や各国の対策の科学的な根拠となる。


毎日新聞 2014年11月02日


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