なぜ冬は感染症が流行するのか? 冬の空気とウイルス感染の関係

なぜ冬は感染症が流行するのか? 冬の空気とウイルス感染の関係

東日本・西日本を中心にエルニーニョ現象の遠隔結合などによる暖冬が予想されるなか、11月も暖かく経過しましたが、それでも冬は感染症の流行が最も起こ りやすい季節です。事実、今冬もすでにRSウイルス感染症やマイコプラズマ肺炎などの「呼吸器感染症」を中心に感染の報告数が増加しています。
さらに、毎冬のように流行しているインフルエンザ、ノロウイルス感染性胃腸炎、溶連菌感染症など、ウイルスたちは虎視眈々と流行の機会をうかがっています。
冬に流行する感染症は、季節の特性を巧みに利用しながら、「私たちの防御機能の低下」や「年末年始などの行動様式に潜む油断」を狙うかのように侵入します。なぜ、これらのウイルス感染症は冬に流行しやすいのでしょうか?

日本の冬:太平洋側と日本海側の天候

 

北西の季節風にさらされる日本の冬は、太平洋側(例:東京)では晴天(=日照時間が多い)で乾燥した天候になることが多く、一方、日本海側(例:新潟)では雨・雪を含む曇天(=日照時間が少ない)のようにぐずついた天候が続きやすくなります。
2つの地域について、12月上旬〜1月下旬までの「旬ごとの相対湿度(%)」を平年値(1981~2010年の30年平均値)で見ると、東京は順に「59→55→53→52→54→51」といった具合に、徐々に乾燥が進行しています。
一 方、同じ期間の新潟は「73→73→72→72→72→73」のように、ほぼ一定の高い値を維持しています(以上、気象庁の観測による)。ただし、この データから「日本海側の冬は多湿なので」と話を進めるのは短絡的です。私たちの生活空間は、その多くが「暖房の効いた室内」であることを考慮する必要があ ります。


冬の室内には太平洋側も日本海側もない!

 

そこで、太平洋側と日本海側の冬の空気を「同じ条件」で比較してみましょう。例えば、外気を室内に引き入れて25℃に暖めたと仮定すると、それぞれの相対湿度(%)は、東京が順に「21→18→16→15→15→14」となります。
同じく新潟は「23→21→19→18→17→17」となって両者の違いはほとんどなくなり、ともに20%を下回る「非常に乾燥した空気に変質」します。つまり、「生活空間」については太平洋側も日本海側もなく、「冬を迎えれば一様に乾燥する」ことがわかります。


寒冷と乾燥:人間には不都合だがウイルスには好都合

人間の咽喉(のど)本来の機能維持には「適度な湿度」が重要です。空気が乾燥する冬は、潤いを失った気道粘膜の防御機能が低下しがちで、粘膜に留まったウイルスが繁殖し、飛沫感染や空気感染が起こりやすくなります。
また、冬場は運動する機会が減ることで「発汗」や「水分の摂取量」が減少するうえに、寒冷刺激によって毛細血管が収縮し「体表の血流量」が抑えられるため、免疫機能も低下します。これは加齢による免疫力低下が重なる高齢者や基礎疾患のある人に顕著で、特に注意を要します。
一方、ウイルスには、感染先となる人体の「バリア機能が衰える冬」は、最も侵入や繁殖に適した季節と言えるでしょう。加えて、寒冷な環境はウイルスを延命させ、乾燥した空気はウイルスの飛散領域を拡大させるため、大規模な流行に発展しやすいのです。

<執筆>佐藤 敦


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